電気自動車やプラグインハイブリットに必要な充電設備
電気自動車(EV)は100%電気で走る車です。プラグインハイブリット(PHV)は基本は電気で走りますが電池不足の時はガソリンを使って走る車で、主たる動力は電気であるため、電力は充電します。
EVやPHVを購入したら自宅には充電設備を作るものの、出先でも充電できなければ困ります。ここでは現在の充電設備の普及状況を見てみます。
全国の充電設備設置数
充電設備は電気自動車の普及と共に年々増加しています。充電専門の場所だけでなく、コンビニ、レストラン、ショッピングモール、宿泊施設など自動車を駐車して他の用を足すような場所に増えています。これら情報は日々更新される充電設備口コミサイトである「GoGoEV」や「EVsmart」などで寄せられています。2021年7月の段階で、寄せられている充電器数は、急速充電設備がおよそ7,600カ所、普通充電設備がおよそ13,000カ所になっています。
まだまだ充電設備の数はとても少ない状況です。
充電器の案内表示(CHARGING POINT)
EVやPHVのドライバーが充電器を見つけやすくしたり、その種類を一目でわかるように全国共通の案内表示として東京電力が2008年に作成したものが以下のCHARGING POINTサインです。これらは東京電力によって商標登録されているものですが、充電器の設置場所を示すサインとして使用する目的であれば、東京電力のウェブサイトの申し込みフォームから使用申込することで誰でも無償で利用することができます。
普通充電用案内表示(EV 100V)
普通充電用案内表示(EV 200V)
急速充電器用案内表示(EV QUICK)
※各案内表示左側が標準的なもので、右側は簡易表示
チャージングポイントサインの申し込みは以下のリンクから可能です。
https://www4.tepco.co.jp/info/form_cp/form2.html
日本が主導する急速充電の世界標準「CHAdeMO」
CHAdeMO(チャデモ)は日本が主導して規格した世界標準となっているEVの急速充電の仕様です。「CHArge de MOve(動くためにチャージする)」という意味と、日本が規格を作っただけに「お茶でも飲んで充電をまってはどうですか?」というような意味合いも込めて日本人が親しみやすい名称になっています。
CHAdeMOロゴマーク
CHAdeMOの充電器は全国におよそ7,600カ所あります。CHAdeMOは以下のようなロゴマークになっています。
急速充電主要4規格 ー 近年台頭する中国勢
多くの自動車メーカーは年々電気自動車の開発に力を入れていて、それぞれメーカーも独自の充電規格を考案し始めています。中でも中国のEV開発のスピードは目まぐるしく、ヨーロッパや米国でも設置台数の多いCHAdeMOですが、中国のGB/T規格は充電器設置台数だけで言えば、2018年の段階でCHAdeMOがおよそ17,900カ所に対して、220,000カ所と圧倒的。ヨーロッパや北米のコンボ(CCS:combined charging system)はおよそ7,000台、米国のテスラはメーカー1社だけで8,500カ所に設置されています。
以下4つが主に世界で普及している充電規格です。
- 日本・アジア・ヨーロッパ ――― CHAdeMO
- 中国 ――― GB/T
- EU/北米 ――― CCS(コンパインド・チャージング・システム)
- 米テスラ ――― SC(スーパーチャージャー)
今後統一される充電規格 ChaoJi規格
EVの世界的な普及に伴い、充電規格も統一していこうという動きがあります。中国を中心にシェアを伸ばすGB/T規格とCHAdeMO規格が中心となって、新統一規格「ChaoJi(チャオジ)」の開発が進められています。これは2018年に日中共同による新規格策定に向けた開発をすすめるという覚書の下スタートしたプロジェクトで間もなく実用が始まるといいます。ChaoJiは中国語で「超級」を意味し、設置シェア87%のGB/T規格の中国と、世界標準になっているCHAdeMO(設置シェアは7%)がChaojiに移行していく事で、他の充電規格も統合せざるを得ない動きになっていくでしょう。
この規格の統一化が進めば、更にEVの普及が進むことになるが、一方で低価格で高性能な中国製EVなどの台頭などにより、自動車メーカーの覇権争いにも決着がついてしまうかもしれません。
関連リンク