植物の多様性
地球上の自然環境は生物の多様性のバランスによって長い年月が保たれてきました。動物だけでなく、植物もその役割を担っていて、バクテリアやウイルス、細菌なども例外ではありません。
人が生きていくためにもこれら地球上の資源は欠かせないもので、動物や植物を捕食する人間にとってこの生物多様性(バイオロジカル・ダイバシティ―:Biological Diversity)は大切にしていかなければなりません。
これら生物多様性の中では絶滅危惧種といわれると動物などに目が行きがちですが、植物の中にも絶滅の危機に瀕しているものが沢山あります。これは日本だけで起こっている問題ではなく、もちろん世界中で人間による環境破壊などにより起こっています。植物もまた動物といっしょで、たくさんの種類があることによってそれぞれの個体がその相互関係により守られ、種の存続を続けています。多様性が失われていく事で、自然環境や動物、人間などに与える不利益も多くなってくると考えられています。
日本の絶滅危惧植物
そのような絶滅の危機に直面している植物は日本にもたくさんあります。絶滅危惧種は実は動物より植物の数の方が多く、2020年時点のではおよそ3800種の絶滅危惧種のうち、2000をこえる種類が植物です。写真の野に咲く「シラタケホシクサ」もまた絶滅危惧種にしていされているものです。
京都府立大学京都地域未来創造センター客員教授の長澤淳一氏と京都大学大学院教授の瀬戸口浩章による「日本の絶滅危惧植物図鑑」などでは、30年以上も撮りためた日本の絶滅危惧種とされている植物とその自生地の様子などがまとめられ、その保全活動にかんしてもまとめられたものとなっている図鑑です。
外来種の脅威
植物はその地域の気候、地形などの自然、生物などの環境によって自生できる種とそうでないものなどがあります。しかしながら、人の活動によって本来は自生していないエリアに持ち込まれてしまう植物なども多くあります。それは種子などがたまたま人や物などに付着して海外から輸入されてきたり、観賞用や商品として持ち込まれ販売されていたものが自然に広まっていったものなどもあります。
外来種の植物は身近な所にもたくさん自生しています。いつから咲いていたかわからない、道端など咲く黄色いきれいな花をつける「オオキンケイギク(キク科ハルシャギク属)」などは北米原産のもので、観賞用などで日本に輸入されてきたものです。今では強い繁殖力から日本各地で自生するようになり、日本の生態系に危害を及ぼすとされる緊急対策外来種とされています。
動物も同様ですが、グローバル化によるロジスティクスの発達により、その積み荷などに紛れて外来種の動物や植物の種子などが持ち込まれ、その強い繁殖力により日本の生態系を脅かす存在になっているものも数多くいます。また意図的に鑑賞・レジャーのために広まったものも多く、これら生物多様性への考え方や教育も今後更に重要になっていきます。
まずは植物を知るという活動から
地球上には50万種を超える植物があると言われていて、未発見のものや進化を続けている植物などもたくさんあります。これだけの種の多様性を守っていくために必要なのは、個体の観察からその周囲の環境、動物とのかかわりなどを1つ1つ知っていく必要があります。気の遠くなる作業ですが、まずはそれらを知る事が大切であると、世界中の研究家・専門家たちがその調査を続けています。
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