TESLA POWERWALL(テスラ・パワーウォール)とは?
TESLA(テスラ)と言えば、電気自動車で有名な米国のメーカーです。そのテスラが電気自動車で使われている蓄電の仕組みを家庭用にも活かしたものがTESLA POWERWALL(テスラ・パワーウォール)です。
今回は資源ドットネットのスタッフが実際に家庭にテスラ・パワーウォールを設置しましたので、導入から運用まで、他社との比較も含めた情報をまとめてみました。
テスラ・パワーウォールを選択肢にいれた理由
電気自動車は過酷な環境下で電池が使えなくなってしまうと困ります。そのような環境でも耐えられる電池技術と、テスラの電気自動車同様にクラウド環境と常に接続されて、スマートフォンやiPhoneのアプリで現在の状況も確認できるというところで日本製のものとテスラを比較していきました。そしてなにより「かっこいい」というのもあります。
結論から言えば、現在最強の蓄電池と言える
先に結論から言ってしまうと、スペック、形、操作性、そして価格面で国内で設置できる家庭用の蓄電池としては最強と言えます。この電池を選ばない理由を探す方が難しいくらいです。特に太陽光発電を搭載している家庭なら、絶対テスラと言っても過言ではありません。もちろん住宅の環境によっていろいろと変わってきますのでそのあたりを詳しく解説していきます。
TESLA POWERWALLの特徴
価格と仕様を見ても断トツ
Tesla Powerwallの特徴は、なんといっても大容量13.5kWhの蓄電容量なのに99万円という常識はずれの価格にあります。これは2021年2月現在でも充電容量に対しての価格として「断トツ低価格」と言えます。
基本性能で高い評価
その他のスペックも見ていきます。テスラのパワーウォールは他社のものを上回る性能があるだけでなくデザインも良く、日本の家庭事情にもフィットする大きさになっています。さらに細かく見ていきましょう。
充電容量と放電深度、充放電効率、最高出力について
充電容量は単体で13.5kWhということで、4人家族が1日で利用する電気量の平均をカバーする容量を持っています。もちろん電気をたくさん使う家族の場合はこの容量を超えてくるでしょうが、それでも多くをカバーできます。
放電深度は100%となっていて、これは13.5kWhを全部使い切るように設計されているということです。電池によっては90%しか放電しないというものなどもありますがテスラパワーウォールは13.5kWhを丸々つかえますということです。Depth of Dischargeを略してDOD値と呼ぶこともあります。
充放電効率は、充電容量に対して放電する電気量が何%かというものです。テスラパワーウォールは90%となっています。この数値が高い方が充電した電気の大部分を放電できるということになります。
最高出力は常時5kWhでピーク時は7kWhとなっています。ピーク時というのは瞬間的な電気の利用を想定していて、通常は5kWhということです。家庭の電気の契約で考えると50Aの契約と同じ電気を出力できるということです。ブレーカーなどに書いてある電流値(アンペア)を見れば自宅がどのような契約になっているかわかります。
デザインと設置方法(日本では壁掛けしない!)
テスラ・パワーウォールは、屋外設置を想定しています。他社のものと比べてサイズが非常に薄く、スタイリッシュなデザインというのが特徴です。米国などでは壁掛けにして利用していますが、日本の住宅では壁掛けにせずに直置きになるため、コンクリートなどで土台を作ってそこに基台を設置して固定する方法をとります。理由としては住宅メーカーからの補償が受けられなくなったり、消防法などのからみがあるようです。
サイズは、高さ115cm、横幅75.3cm、厚さ14.7cmになっていて、非常に狭いスペースにも置けるため、日本の住宅事情にはとてもマッチしています。基台の土台をつけたとしても、さほど広いスペースは必要ではありません。
蓄電容量と価格のバランスが国内最強
テスラは公式サイトでも、ズバリ99万円と価格を表示しています。定価ベースですが、他社のものと比較しても蓄電容量と価格のバランスとして大変メリットがあります。
メーカー | TESLA | オムロン | 田淵電機 | シャープ |
品番 | POWERWALL | KP-BU164-S | EOF-LB70-TK | JH-WB2021 |
公表容量(kWh) | 13.5 | 6.5 | 7.04 | 9.5 |
保証期間 | 10年 | 15年 | 15年 | 10年(15年) |
価格(定価) | 99万円 | 251万円 | 120万円 | 357万円 |
国産メーカーは半分の充電容量で、倍以上となっています。充電容量の部分がとても重要で、年平均で見ると4人家族が1日に消費するエネルギー相当を蓄えられるので、全負荷型の蓄電池として最低限必要な容量をもっているとも言えます。
出先からも自宅の電気使用状況を監視
テスラ・パワーウォールの魅力の1つでもあるクラウドでの監視です。自宅の電気使用量がどのようになっているのか一目でわかります。テスラのアプリをダウンロードしてログインすれば、利用できるようになります。すでにテスラ車を利用されているようであれば、同じアプリです。
各種設定画面
太陽光やパワーウォールの電気の流れが見れる
太陽光発電からの電気の流れがどのようになっているか、リアルタイムでその様子を監視できます。自宅の電気が現在どれくらい使われているかなどが分かります。
以下、応用モードに設定し「バランス型」という設定にし、自家消費と節約のバランスをとった設定の例での運用例です。
太陽光発電と組み合わせてある場合は、夜使い切ったパワーウォールの電気をまずは充電して100%にもっていきます。充電優先になるため、朝は自宅で利用している電気は電気事業者から購入します(写真左端)。次に日照が強くなり太陽光発電が協力になってくるとパワーウォールに充電しながら自宅にも太陽光から直接給電(左から2番目の写真)。この状態では電気代が一切かかっていません。パワーウォールが満タンになると、今度は自宅への給電をし、余った電気を売電します(右から2番目の写真)。夜はパワーウォールから給電し、電気事業者からの電気を極力買わないようにします。
テスラの保証。10年保証は短いか?
テスラの保証は10年間の間に電池性能を70%まで保証するというものです。電池性能がこれ以下になったり、通常利用により回路が故障などした場合にテスラの保証を受ける事ができます。
他社を見ると15年保証などもあり、テスラの10年は短いと感じるかもしれません。しかしイニシャルのコストを考えると断然に安いテスラは10年の保証でも十分と言えます。なぜなら10年もすれば電池は当然100%の性能を発揮できなくなってきますし、電源まわりの基盤などもだんだん劣化してきます。10年後などは蓄電池ももっと普及して価格が安くなると予想されています。更に他の回路部分もリフレッシュさせて安定的に動かすという意味でも、イニシャルが安い分、10年後には新しいパワーウォールへ交換などの選択肢で良いのではないかと思います。
蓄電池のサイクル数。テスラは無制限。
蓄電池には「充電サイクル」というものがあります。これは蓄電池を充電する際に0%の状態から100%に充電され、そこから0%まで使い切った状態を1サイクルとします。
充放電を何回繰り返し行うかと言うのがサイクル数という事になりますが、田淵電機やシャープなどは12,000サイクル稼働するとしています。このサイクル数も保証規定に入っているメーカーもあって、この例で言うと、12,000サイクルを超えてくると保証適用外となります。
テスラはこのサイクル数での保証規定は無いため、無制限という事になります。
ちなみにテスラの容量は13.5kWhで、4人家族が1日で使う平均的な使用量ですので、1日1サイクル程度の利用になりますが、容量が半分の7kWhになると、1日2サイクルする場合もあります。1日2サイクルで12,000サイクルだと、12,000÷(2×365日)でおよそ16年程度持つ計算になります。1サイクルなら32年の長寿命という事になりますが、この場合電池の劣化や電源回路など他の部分の経年劣化などが先にきてしまうでしょう。
そのため、蓄電池のサイクル寿命に関しては選ぶときにあまり意識しなくてもよいものです。特にテスラの場合サイクル数に関係ないため比較する必要もありません。
施工費用と工事内容は?
テスラパワーウォールの国内施工業者は数社ありますが、工事費用は50万~70万くらいの間です。屋内と屋外の工事が発生します。
パワーウォール自体は外に設置しますが、線を引き込むために壁に穴をあけます。また屋内のブレーカー近くにテスラのバックアップゲートウェイを設置し、このバックアップゲートウェイを自宅のWiFi環境に接続することでクラウド経由でパワーウォールの状況を監視することができるようになります。
バックアップゲートウェイは写真のようになかなか大きいものが壁につきます。特に開いてもなにか設定をいじったりすることは無く、ブレーカースイッチだけがついています。パワーウォールの充電設定などはクラウド経由で行うため、ここを開ける事は殆どありません。
テスラパワーウォールの費用対効果は?
テスラパワーウォールの設置には、本体99万円と工事費が50万~70万円程度かかります。およそ160万円が設置費と考えて、10年間のローンを組むと月々の返済はおよそ1万円程度になります。太陽光パネルでの再エネ買取価格と併せて節約価格が1万円を上回ればパワーウォールが採算が乗ってくるという事になります。
テスラパワーウォールを選択した場合に注意したい事!
保証は10年となっていて、中の回路が壊れたり、電池が70%を切るような事態があった場合は無償でパーツの交換などが行われますが、業者によってはこの交換時の工賃については別途請求される会社もあります。契約時にはしっかり確認しておきましょう。
- JET認証製品ではないため補助金などは受けられない。
- 10年保証はパーツ交換の価格。業者によっては工事費などは別。
- 国産のHEMS製品などとの連携は現時点(2021年3月)ではできない。
- 設置に非常に時間がかかる。(現在人気が集中していることもあり6か月くらい待たされます。)
そもそも蓄電池を導入するに至った経緯
筆者の自宅は2010年に自宅を建てた際に、太陽光パネルを屋根に乗せました。2009年から始まった「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT制度)」により、太陽光パネルで発電した電気を10年間、全て電力会社に販売することで電気代の足しにしようという考えです。10年後は再買取もあるようですが、当時から蓄電池への切り替えも想定していました。
比較的日照が良いエリアで、売電単価も48円/kWhという好条件ということもあり、月の発電量は良い時で33,000円を超えてくる月もあり、10年間の平均値では18,500円/月くらいの売電を行っていました。
FIT終了後の太陽光発電活用
2009年から10年が経過し、FIT期間が終了する人たちが出始めるころ、太陽光発電の次の活用についての情報がいろいろと出てくるようになりました。
各社が卒FIT後の電力買取プランを用意するようになり、東京電力など、旧一般電気事業者の再エネ買取標準プラン(2021年3月現在で8.5円)より高い金額での買取業者が出てきました。しかし下のグラフにもある通り、FIT終了後の買取価格の平均的な価格10円と比べても、自宅で支払う電気料金(右側オレンジのグラフ)の方が圧倒的に高い金額になるため、できれば自家消費に回した方がお得であるという点から蓄電池の導入は非常に効果的です。
しかし、当然蓄電池のイニシャルコストは結構かかります。テスラのパワーウォールは国産のメーカーのものと比べると格段に安いとは言ってもやはりイニシャルコストはかかります。
国産メーカーの蓄電池の実勢価格について
国産メーカーの定価ベースでの参考価格は前述しましたが、国産メーカーは値引き幅も結構あります。実勢価格については時期によりかなり価格差がありますので、一括見積サイトなどを利用して一度見積もりを取っておくことをおすすめします。
メーカーにより押してくるところは違いますが、やはり大切なのは蓄電容量と価格になります。
太陽光+蓄電池なら絶対パワーウォール!
自宅に太陽光発電を搭載していて卒FITを迎えたならテスラパワーウォールは絶対におすすめです。電気代の節約という観点から考えると微妙なラインですが、それでもイニシャルコストが安いテスラは非常に魅力です。蓄電池の無料一括比較サイトなどで見ても蓄電容量13.5kWhと同等程度の容量を確保するとなるとやはりテスラの工事費込み160万円程度からは倍近い金額になります。
日照が良く、エコ住宅に住んでいれば、月額1万円程度の節約は可能で、これに太陽光発電の余剰売電の料金も入ってくると節約の観点でも効果が出てきます。
更にストームウォッチなど災害時に優れた効果を発揮する機能を搭載していることを考えると、停電などを伴う災害の対策としては今後重要になってきます。
まとめると
- 13.5kWhの大容量で、4人家族の1日平均程度の電力を賄える。
- 国産メーカーに比べてかなり価格が安い。(補助金を考慮しても安い)
- 売電と併用で節約メリットは工夫次第で出せる可能性あり。
- 災害時にも電力確保できる。
- アプリでパワーウォールの状態を監視でき、用途に合わせた設定の切り替えも可能。
- 設置検討は早めに。申し込みから6か月~12ヵ月程度待たされる。
蓄電池界の黒船ともいわれているテスラ・パワーウォールの特徴は以上の通りでした。今後も続報をアップデートしていきます。
テスラパワーウォールについては、以下のサイトで見積もりを受け付けています。